「フォレストパートナーシップセミナー2017」
今回は、平成29年1月30日(月)PM6:45~PM8:30よりコンベンションルームAP新橋虎ノ門で開催された、「フォレストパートナーシップセミナー2017」の内容を紹介します。
日本企業のCSR担当者を対象に昨年12月上旬に実施させて頂いた「国内企業のための海外森林保全活動スタディツアー(インドネシア)」の活動報告をメインにしたセミナーとなっています。
海外では欧米を中心に、森林は単なる保護や援助の対象としてではなく、アセットクラスとして森林(Timberland)が機関投資家などから注目を集めています。
米国においては、投資家による森林への投資残高は2兆円以上の規模と推計されており、ハーバード大学など著名な機関も森林への投資活動を行っていることで有名です。
日本においても、速水林業の取り組みなど先進的な試みが行われています。
環境省委託事業として開催された「フォレストパートナーシップセミナー2017」への参加は、社会的課題などにどのような取り組みが行われているのか、広くソーシャルファイナンスの可能性があるのかウオッチすることが目的となります。その観点から内容を抜粋して紹介します。
インドネシアスタディーツアー報告会/国際緑化推進センター(仲摩氏)
【対象地】
インドネシア南カリマンタン州
【目的】
森林区域のうち伐採の禁じられた保安林の荒廃草地において、「コミュニティ林」を適用し、ゴムノキを活用した住民参加型の森林回復及び住民生計向上を実践
【背景】
熱帯林の減少と劣化
【プロジェクト】
W-BRIDGE(早稲田&ブリジストン)、「エプソン環境と友好の森」
【成果】
国有林内のゴムノキを植え住民参加型の森林回復に成功
【報告から得た知見】
昨今では、立場の異なる組織(行政、企業、NPO、財団、社会起業家、メディアなど)が組織の壁を越えてお互いの強みを出し合い社会的課題の解決を目指すアプローチのとして、「コレクティブ・インパクト」という概念が注目されています。
「コレクティブ・インパクト」は2011年にJohn KaniaとMark Kramaerがスタンフォードイノベーションレビューで唱えた定義ですが、途上国における森林緑化の取り組みにおいては、特に、政府と現地住民の参画が重要なようです。
森林においては、植林や伐採は規制領域で勝手に実施することが禁止されて地域もあり、どうしても政府との関係が重要になってきます。
また、現地住民の生活には直接影響するため、現地住民の参画も非常に重要になってくると言います。
その後の早稲田大学名誉教授の森川先生の講演「海外植林・森林保全事業の勘所〜インドネシアにおける課題と展望〜」においても、プロジェクト終了後に関連施設が廃墟になってしまっていた等の報告は、森林に限らず、社会課題を解決する際に、いかにビジネスとして構築するかが重要になります。
兼松株式会社においては、インドネシアで現地政府と民間企業が協力してカカオ農業と森林保全を組み合わせた「FERR+プロジェクト」を実施されています。
今後、ビジネスとして、森林保全という社会的課題を解決する試みを行って行かれるそうで、その取り組みについては引き続き注目していきます。
今回は、平成29年1月30日(月)に開催された、「フォレストパートナーシップセミナー2017」の内容を紹介しました。
引き続き社会的課題の解決を意図した取り組みについて紹介していきます。
イベントURL
http://www.jifpro.or.jp/Activities/Human_Resources/Human_Resources_ENV_studytour_seminar.html