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執筆者の写真Social Impact Act

ソーシャルインパクトボンドのステークホルダーとスキームについて

更新日:2019年7月3日


ソーシャルインパクトボンド(SIB)とは

ソーシャルインパクトボンドは、日本において、まだ一般的に知名度は高いとは言えませんが、Social Impact Actでは今まで何度か紹介してきました。

今回は、ソーシャルインパクトボンドに登場するプレイヤーとスキームについて紹介していきます。詳しくは、『ソーシャルインパクトボンドとは何か』を参照ください。

ソーシャルインパクトボンドのステークホルダー

SIBのプロジェクトは、公共セクターと民間セクター間の契約で、プロジェクト毎に役割や登場プレイヤーは流動的に設計可能ですが、主なプレイヤーは下記となります。

【サービス受益者】

SIBの社会的プログラムの対象となるグループ:貧困家庭の子供やホームレス等々

【政府】

SIB導入可否の判断、中間支援組織またはSPVとの間で契約締結:中央政府、地方公共団体

※SPV(特別目的事業体):新規プロジェクトのために特別に設立された事業体

【投資家】

SIBの活動資金を前払いで提供する法人または個人:財団、ファンド、銀行、信託、個人、NPO等

【サービス実施団体】

サービス受益者に対して予防的な介入サービスを提供:非営利組織、社会的企業、共同組合等

【中間支援組織】

SIBのステークホルダーに対して仲介サービスを提供する組織。資金の調達、契約の仲介、SPVの設立、プロジェクトマネジメント等:NPO、銀行、社会的企業等

【第三者評価機関】

アウトカム指標の設定の支援:評価会社、研究機関、大学等

【評価アドバイザー】

ステイクホルダーの活動改善支援:評価会社、研究機関、大学等

SIBに限らず、一般的に、多くのステークホルダーが関わる(委託)プロジェクトにおいて、当然全てのプレイヤーの役割が重要ですが、その中でも、関係者の数が大きくなるにつれ、様々なステークホルダー間を仲介する、中間支援組織の果たすべき役割が大きくなる考えられます。

特にSIBにおいては、インパクト測定などの取引費用が発生するため、大きなプロジェクトを実施しなければ、そもそも、社会的に見ると非効率という見方もでき、Malugan(2015)なども通常のPFIでさえ、2,500万ポンドを下回るスキームは、その取引コストを考慮すると経済的ではないとし、SIBの名付け親のマルガンも取引コストの問題は大きな課題としています。

一定程度の規模のプロジェクトになる場合は、ステークホルダーも増える傾向にあり、そうした背景からも、SIBにおいては中間支援組織の果たすべき役割が大きくなるのではないか考えられます。

ソーシャルインパクトボンドのスキーム

本来スキームとしては、登場プレイヤーの数や役割に応じて、数多く想定することができますが、大きく分類すると下記となります。

【直接契約】

政府とサービス実施者との間で直接契約

【SPV契約型】

政府と投資家所有のSPVとの契約、SPVがサービス実施団体と契約

【中間支援組織契約型】

政府と主要受益者または、主要受益者が所有するSPV間で契約、中間支援組織がサービス実施団体と契約

今回は、ソーシャルファイナンスの一種である、ソーシャルインパクトボンドの途上プレイヤーと契約スキームについて紹介しました。

Social Impact Actでは、広く社会的課題やソーシャルインパクトを意図した取り組みや、そのツールとしてソーシャルファイナンスについても引き続き紹介していきます。



ソーシャルインパクトボンド(SIB)

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