CSV(Creating Shared Value)とは
CSR(Corporate Social Responsibility):企業の社会的責任という言葉は、企業経営において市民権を得つつあります。
CSVとは、Creating Shared Value(共通価値の創造)の略で、マイケルポーター氏が提唱した概念となります。
ポータ氏の言葉を借りれば、CSVの概念を「企業が事業を営む地域社会の経済条件や社会状況を改善しながら、自らの競争力を高める方針とその実行」と説明しています。
要するに、単なるイメージ向上の取り組みではなく、いかに事業との相関関係をもたせた活動を実施するかにフォーカスを当てた概念です。
このビジネスを通じた社会貢献の考え方を導入する企業は増えており、今回は、CSVと地方の関わり、特に観光という側面から紹介した『CSV 観光ビジネス〜地域とともに価値を作る〜』という書籍の内容を抜粋して紹介します。
観光における共通価値の創造とは
ポーターは、社会的価値を創造することで、経済的価値を創造する方法は三つだとしています
(1)製品と市場を見直す
社会の課題解決を事業の機会と捉え、自社のサービス(観光サービスなど)でいかに課題解決につなげるとともに収益を生むビジネスモデルとすることができるか?
(2)バリューチェンの生産性を再定義する
産業のバリューチェンの競争力を強化し、社会的価値の創造と両立させるためにはどうしたらいいか?
(3)企業が拠点を置く地域を支援するクラスターを作る
地域において産業の活動を刺させる基盤(観光資源、地産地消を進めるサプライヤー、観光インフラ)を強化し、地域に貢献するとともにいかにして自らの競争力を高めるか?
これらの観点から、具体的な成功事例の紹介がなされています。
例えば、スイスのサースフェー村などは、単に課題解決に繋がる「仕組み」を構築するだけでなく、それを運用する組織がその「仕組み」をい使う本来の目的や方法を担保するための活動などが紹介されています。
キーとなる概念としては下記が挙げられます。
「ヒューマンウェア」:地域社会に住む生活者、行政、企業などが協働し、自らの思いや意思で活動を具現化していく知恵。 その「思いや意思の共有」の仕方や「知恵」を誰がどのように伝播させるかが重要となるといいます。
スイスのサースフェー村以外にも様々な事例が紹介されています。地方創生やCSVに興味をお持ちの方は是非、手にとってみてはいかがでしょうか。
引き続き、社会的インパクトを意図した取り組みや関連領域について紹介していきます。
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