『投資ファンドの基本と仕組み』
Social Impact Actでは社会的インパクト投資を行うプレイヤーを紹介してきました。
その中では、投資ファンドが果たすべき役割もあります。
今回は、投資ファンドの前提となる知識を記載している、『投資ファンドの基本と仕組み』という書籍の内容を紹介します。
社会的インパクト投資やESG投資などに興味がある方は、実際に手に取られてみてはいかがでしょうか?基礎的な全体像な数値などについても確認することが出来ます。
投資ファンドとは
投資ファンドとは、複数の投資家から資金を集めて、ファンド(基金)とし、ファンドマネージャーが様々な投資対象で運用し、得られた収益を出資比率に応じて投資家に配分するものです。
カーライルグループによると日本における、プライベートエクイティーファンドの組成環境が整ったのは、2000年代に入ってからとしています。(法整備は1990年代に法制は整備されてきた)
ただし、リーマンショックやサブプライムローン問題などで、大手金融の「利益相反」がクローズアップされ、規制は強化されています。
現在、米国のベッジファンドリサーチによると、2014年3月末時点で、ヘッジファンドの資産残高は世界で2,7兆ドル(約270兆円)。世界の株式市場が約36.6兆ドルなので、その約7%を占めます。
日本における投資ファンドの現状
金融庁のファンドモニタリング調査の結果によると、2013年時点で、投資ファンドの運用本数は1万3834本、運用資産がくは211兆円とされています。
・集団投資スキーム:3893本、15兆円
・国内投資信託:9164本、161兆円
・国内投資法人:51本、10兆円
・外国投資信託、法人:726本、24兆円
集団投資スキームとは、他者から金銭などの出資・拠出を集め、その資金を用いて何らかの事業・投資を行い、その事業から生じる収益などを出資者に分配する仕組みで、日本において、その7割を占めるのが、不動産投資ファンド(約11兆)です。
投資ファンドの事業者数は約4000社(2013年、金融庁)
投資ファンドの販売会社には、「第一種金融商品取引業社」「第二種金融商品取引業社」「適格機関投資家等特例業務届出者」「登録金融機関」があります・
投資ファンドの運用会社には、「投資運用業社」「適格機関投資家等特例業務届出者」「特例投資運用業務届出者」があります。
現物・コンテンツファンドとは
競走馬やワイン、ホテルや飲食店などの現物や事業に投資するファンドのことを現物ファンドと呼びます。
また、映画や音楽、ゲームや知的財産権などのコンテンツを投資対象とするものを、コンテンツファンドと呼びます。
美術品を投資対象とするアートファンドでは、第二次世界大戦後、イギリスの美術品の多くがアメリカの新興富裕層に流出していました。そんな中、ホルバインの傑作と言われる、「ミラノ公妃クリテスティーナ」も売られるそうになったときに、ロンドンの「ナショナル・アート・コレクション・ファンド」が立ち上がり、流出を止めたことで有名です。
商品投資販売業社のヴァンネットがリリースしているワインファンドはすっかり定着していますが、驚くべきは、その運用実績です。
ワインファンドへの投資を勧めるものではありませんが、2008年に収穫されたワインに投資したファンドの運用実績はユーロベースで147.79%、2009年に収穫されたワインに投資したファンドの運用実績はユーロベースで173.43%という運用実績を納めています。
映画上映には多額の費用がかかることで有名です、日本における映画ファンド第一号は、「226」という映画作成のために組成された私募の映画ファンドと言われています。
今回は、投資ファンドの前提となる知識を記載している、『投資ファンドの基本と仕組み』という書籍の内容を紹介しました。
本書では、その他にも、社会的インパクトファンドや、アニメファンドの基礎情報も掲載されています。
引き続き、社会的インパクトを意図する取り組みや関係する領域を紹介していきます。
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